メルセデス・ベンツ・ファッションウィーク東京二日目。私たちが待ち焦がれるのはもちろん、この日のトップバッターDressedundressedのショー。
東京のアンダーグラウンドカルチャーを彷彿とさせるダークなスタイルで知られるデザイナーの北澤武志と佐藤絵美子は今回、ジャパニーズミニマリズムを全面に押し出したコレクションを制作。
シャープなテーラリングが冴えるセットアップは、ミッドカーフレングスのトラウザーによりこれまで以上にフレッシュに生まれ変わり、袴のようなワイドフレアシルエットがエフォートレスながらセンシュアルな印象を与えた。
胸元をさざ波のような模様のテキスタイルで切り替えたプルオーバーは、日本の侘び寂びの象徴である「枯山水」の影響か、マットなテクスチャーがモダンでありながら至極エレガントだ。
ブランドのテーマである「二面性の結合」は今回、アンドロジナスな人物像や繊細なカラーパレットに凝縮された他、過去と未来のクロスオーバーさせたモーションプレゼンテーションにも顕著に見られた。今回2回目のコラボとなるErotyka Tokyo Parisのデジタルプロジェクションは、モデルのウォーキングに合わせてデジタルノイズが呼応し、カオティックな東京の情景を浮き彫りにした。
http://dressedundressed.com
ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、そしてパリ。ファッションウィークの風が西から東へとロケーションを変え、エデンの東へ。It’s 東京ファッションウィーク!BABY!
元より諸外国のファッションウィークと些か趣向の異なる東京ファッションウィークでは、近年ストリートにバックボーンを持つ若手を中心に勢い溢れるコレクションが話題を呼んでいる。そして今季、2014年秋冬シーズンのスケジュールの中でも最も高い注目を集めたブランドの一つが、韓国出身のデザイナーBajowooによるメンズウェアブランド99%is-だろう。
先シーズン2014年春夏コレクションにて彗星のごとく登場したこのパンク・プリンセスは今回、得意とするハードコア・レザースタイルをベースにより洗練されたコレクションを発表。
巨大なAモチーフ(もちろん、’A’narchy=アナーキーの印)が圧倒的な存在感を放つランウェイでは、アイコニックな総スタッズ刺繍のルックがインパクト絶大なファーストルックがまず登場。「ディティールに重きを置いたコレクション」とBajowooが語るように、これらスタッズは全て特注で作られたスペシャルピース。ちなみにランウェイに敷かれたカーペットも良く見ると、細かいピラミッドスタッズのテクスチャーが表現されている。
これまで幾度となく反芻してきたスタッズ ディティールを全面に押し出したファーストルックが会場をあっと言わせたのも束の間、セカンドルックからはその鋭い刺は姿をひそめ、ラグジュアリーなマテリアルと端麗なシルエット、そして細やかなディティールが秀逸なルックが続く。
ピラミッドスタッズのディティールを、ラメ糸のジャカードニットやブルゾンのスリーブ部分に施されたパネル刺繍で表現したオール・ブラックルックは、スリークかつミニマル、そして溢れんばかりの色気を放っていた。
昨年半ばに英マッキントッシュとのコラボによって制作されたトレンチコートは今季、レザーのガンフラップやオリジナルのロゴ入りジップ、そしてボンデージルックを思わせるハードウェアディティールを纏って登場。シャープなテーラリングが目を引くシルクサテンのセットアップは、見る角度によって’%’の文字が浮かび上がるテキスタイルが、オーセンティックなサヴィルロウの美学にも通ずるマニア精神を浮かび上がらせた。
「きっと99%is-のことを知っている人はまず真っ先にスタッズを思い浮かべると思って、今回は新しいテクスチャーやディティールで驚かせたいと思ったんだ。」とショー前に語ったBajowoo。 ハードコアスピリットをそのままに、より洗練された審美眼によって完成されたルックはどれも、今すぐ袖を通して街に出かけたいものばかりだ。
http://99percentis.com
シーズンの入れ替わりに合わせて、東京のリテールシーンも何やら変化の兆し。その中の一つ、都内随一のラグジュアリーなセレクトで人気のRestirがリニューアルオープンを迎えた。
The Reality Show Magazine No.2でも登場したスーパーハイエンドなセレクトショップは、これまで六本木ミッドタウンにその店舗を構えていたが、今回新たにオープンしたのは、同じくミッドタウンの測道に面した閑静な佇まいの建物。無機質かつミニマルな概観がミステリアスなこのビルは、日本を代表する著名写真家篠山紀信のアトリエを併設していることからも分かるように、一貫されたスリークかつモダンなインテリアデザインが特徴となっている。篠山が撮り下ろしたモノクロ写真が掲示された階段を下れば、そこには綺羅星のごとく輝くラグジュアリーブランド天国が。
サン・ローラン、ランバン、ヴァレンティノ、ジバンシィ、ジャンバティスタ・ヴァリなど、ヨーロッパを中心にセレクトされたブランドリストは、どれも目が眩むほどリュクスでありながら、幅広くバイイングされたアイテムたちは、スペシャルな機会に袖を通したい珠玉のラインナップばかり。そして特筆すべきは、同じくヨーロッパから届いたエマージングタレントたち。イタリアンクラシックをモダンに解釈したコレクションで知られるFausto Puglisiやスパンコールをふんだんに用いた作品で人気のAshish、若手最注目株のJ.W.Andersonはもちろんのこと、新生Paco Rabanneのクリエイティブ・ディレクターに抜擢され、今後の活躍が期待されるJulien DossenaによるセルフレーベルAttoの取り扱いまで、若手に至るまで余す所なく“旬”をセレクトする審美眼はさすがの一言。
ハイヒールの足音が鋭く響くコンクリートや大理石のフロアはそれだけで萎縮してしまいそうになるが、そんな時のためにパリっとアイロンがけしたシャツに身を包んだ美男美女がアテンド役として構えていてくれる。何から何まで一級品、リステアの威厳は健在だ。
http://www.restir.com
現代アートシーンの“L’enfant terrible (無法者)”、Chim↑Pomの紅一点Ellieが初となる写真集『エリイはいつも気持ち悪い』を発表した。
今回の写真集では、去る1月に電撃結婚を発表したEllieが敢行したスキャンダラスな「ウェディング・デモ」の一部始終が収められている。この記念すべき日に彼女が選んだテーマは“MAD LOVE”。ダイヤモンドのリングをはめた薬指を切断した痛々しい「LOVE IST OVER」のメッセージボードを掲げ、新宿の喧噪を練り歩くウェディングドレス姿は何ともMADな様相を放っている。そして、それらの様子を真に迫るレンズワークで捉えるのは、日本が誇る巨匠篠山紀信とレスリー・キーとこれまた豪華なラインナップが揃う。
写真集の発売に先立ち、現在六本木のHiromi Yoshiiギャラリーでは現在写真集出版記念イベント「エレクトリカルパレードで満足したことは一度もない」が開催されている。3月15日まで開催されるこのエキシビションの初日には、Ellieが高校の時から交遊があったというかの会田誠が来場し、赤裸裸なトークショーで来場者を笑いの渦で包み込んだ。
Ellieとの出会いといえば、いつだったか新宿の二丁目で走り抜けるタクシーを追いかけ回し、ボンネットの上で一緒に遊んだことが記憶に新しいが(良い子は決して真似しないように)、今やそんな彼女も一人の妻。アーティストとして、ファッションシーンがラブコールを送る“it”ガールとして、そして貞淑な妻(?)として、今日も二日酔いのEllieは走り続ける。
http://chimpom.jp
表参道のひっそりとした裏道に佇むセレクトショップ、ICONにて現在ジョンローレンスサリバンのポップアップストアとモデル/フォトグラファーのSENのエキシビションが開催される。
今季Ahonen Lambergとのコラボによるアーティスティックなテキスタイルで高い評価を得たジョンローレンスサリバンから、今回のポップアップストアではメンズ、レディースから美しいテーラリングと目にも鮮やかなカラーパレットのアイテムがラインナップ。
また現在ファッションモデル、そして若手フォトグラファーのSENによるエキシビションを開催しているコーヒースタンドでは、現在5人のアーティストとのコラボによるチョコレートを販売。パリ在住のアートディレクターAnna、東京とブルックリンを拠点に人気を博すヘアサロンThe Overseas、愛すべき親友Tokyo Dandy、プリティ・プリンセスこと点子ちゃん、そして我らがErotyka Tokyo パリがデザインしたユニークなチョコレートと、SENの目が捉えたブラック&ホワイトのポートレートは最高の午後のひとときを演出してくれること間違いなし。
http://icontky.com