『The Melting Pot(坩堝)』とは、イギリス人作家イズレイル・ザングウィルが1916年に著した戯曲のタイトル。様々な要素が共存していく様をあらわしたこの表現はその後、ニューヨークをはじめとする多文化主義社会の都市を表す言葉としてある一定期間において多用された。そして現在、ストリートカルチャーにおける坩堝といえば東京を置いて右に出るスポットは無いだろう。
様々なスタイルやトレンド、そして人物が入り乱れるこの都市では、大きな影響力を持つ新たなファッションアイコンが常に誕生している。
その中でも、今最も際立った存在感を示すのが、弱冠二十歳の小柄な少女Ikeda Hirariだ。
原宿のカルトショップDOGに勤務する彼女は、その小動物のような愛らしいルックスとそれに似つかわしくない攻撃的かつアヴァンギャルドなスタイルを武器に多くのファンを獲得してきた。
『VOGUE JAPAN』『i-D Magazine』『Dazed&Confused』をはじめとするトップファッションマガジンにて誌面を飾る彼女は、今年に入ってからはトップファッションディレクターのNicola Formichettiのお眼鏡に適い、東京から発信されるアイドル発掘プロジェクト「POP ICON PROJECT」に参加するなど、活躍の場を世界へと広げている。
まるで90年代のリンダ・エヴァンジェリスタの異名「カメレオン」を地で行く彼女は、ある時はネオンイエローのワッフルヘアで注目を集めたかと思えば次の瞬間にはイヴ・サルヴァイルばりのスキンヘッドであっと言わせ、最近ではSci-fi映画にでも出てきそうなホワイトブロンドのブレーズにも挑戦している。
そんな彼女のリアルなパーソナリティとスタイルインスピレーションを追跡するため、TABLOIDはエクスクルーシブなセルフィー(自撮り)の提供を依頼。そして送られてきたのは、サイケデリックなカラーリングが目を引くケープ(DOG)に合わせ、エレガントなレッドリップを主役にした普段見せないレディライクなスタイルと、鮮烈なジオメトリック柄のパンツに合わせてトライバルパターンをアイラインで表現したアンドロジナスなスタイル。
デイリーなファッションとヘアメイクを通してエキセントリックな世界観に酔いしれるもよし、自身のメイクの参考にするもよし、彼女の魅力を存分に楽しんでもらえればと思う。
なお頻繁に変わるヘアスタイルの変貌については、今年に入ってからはプラチナブロンドで落ち着いた様子を見せているが、「アルビノ(先天性白皮症)に憧れてこの色にしたけど、最近また何か挑戦したいと思っている」と語る彼女のこと、まだまだガール・クラッシュは終わりそうもない。
(Hirari’s archive snaps courtesy of Tokyofashion.com, Rid Snap and Fangophilia campaign visual)